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「すべては一杯のコーヒーから」は松田公太の自叙伝

今まで勘違いしていました。

大手カフェチェーン店の「タリーズコーヒー」って、スターバックスが流行ったから大手の会社がスターバックスのビジネスモデルを真似して設立したカフェだと思っていました。

「すべては一杯のコーヒーから」を読んでみると、読む前のイメージとは全く違い、著者の松田公太さんが苦労を重ねて日本に根付かせたカフェチェーン店でした。


すべては一杯のコーヒーから (新潮文庫)

松田さんの人間性が面白いのか、文章力に力があるのか分かりませんが、読み始めると止まらない内容。

スペシャルティコーヒーが好きな人、起業に興味のある人、これを読んで損はなし。

松田公太氏が人生をかけて日本で設立したタリーズコーヒージャパン

繰り返しになりますが、これまで「タリーズコーヒー」ってスターバックスのバッタもんだと思っていました。失礼な話です。

日本でスターバックスが流行っていたから、スターバックスのようなカフェチェーン店を日本でも真似て始めたんじゃないかと。

「すべては一杯のコーヒーから」を読んでみると、全く違いましたね。すみません・・・。

「タリーズコーヒー」はもともとアメリカのシアトルにあったスペシャルティコーヒー店で、スターバックスとはライバル会社であった模様。

日本上陸はほぼ同時期。スタバの方がやや早いですが。

「タリーズコーヒー」は、コーヒーが好きではなかった松田さんがコーヒーの美味しさに感動し、7000万円の借金をし、アメリカのタリーズと契約して、日本に立ち上げました。

タリーズからのお金の支援はほぼなし。

本人は勝算があったと思いますが、私から見るとまさに背水の陣。

しかも、何のつてもないところから、タリーズの創業者であるトム・タリー・オキーフに直談判して交渉したという熱意がめちゃくちゃ凄い。

また資本力も名声もない無名の日本人経営者に、日本のタリーズの立ち上げを任せたトム・タリー・オキーフの懐の深さも凄いです。

松田さん曰く、アメリカのスペシャルティコーヒー店の日本第一号店のオープンをスタバに先にやられてしまったのは、非常に悔しかったそうです。

著者の松田公太氏の経歴

松田公太さんは、子供の頃は親の会社の関係で海外を転々。思春期はアメリカで育ち、アメリカの周りの環境から少年時代に起業精神が芽生えたようです。

海外で育ったことで、根本的な思想がグローバルな考えの持ち主だったとも思えます。

大学は筑波大学国際関係学類。卒業後、三和銀行へ入社。入社6年後に、高校時代に夢であった食分野での起業を実現するため三和銀行を退行。

銀行退行2年後の1998年5月にタリーズコーヒージャパン株式会社を設立。

2007年にタリーズコーヒージャパン株式会社社長を退任。

その後、参議院選に出馬し、国会議員に。

今は政治家を引退され、多くのベンチャー企業の設立に携わり、社外役員を務めているそうです。

銀行を辞めたこと、多額の借金をしてタリーズコーヒージャパン株式会社を設立したことが、松田さんの人生最大のターニングポイントと言ってよいでしょう。

タリーズの成功はブランド力の構築と経営理念

「タリーズ」が日本で成功した一番の要因はは、初期からのブランド力の構築なのではないでしょうか。

まず第一号店を銀座でオープンしたのが良かった。これは松田さんの経営判断。

銀座は賃貸料が高いので、資本力の乏しい松田さんの力では、客足が遠のくと固定費だけで赤字が膨らみ、潰れてしまいます。

ただ、銀座には銀座というブランド力がある。タリーズが日本で成功したのは銀座のブランドを借りて、ブランド力を育て上げたからと思います。

賃貸料をケチって安い土地で第一号店をオープンしていたら、タリーズは今は日本にはもうないかもしれないです。

銀座で第一号店をオープンしたのは大正解。

あと経営理念も成功の要因の一つでしょう。

タリーズでは社長から社員、アルバイトまでフェローと呼んでいます。

フェローとは仲間という意味。タリーズで働く人は従業員ではなく、全て仲間という考え方。

よって、社員もアルバイトもみんな責任感を持って働くのでしょう。

この辺の考え方って、ディズニーランドやUSJっぽい。

それにしても1997年第一号店開店のわずか4年後にナスダックジャパンに上場できたのは凄い。当時、飲食業界最速記録を更新したとのことです。

松田さんくらいの熱意と行動力がなければ、ビジネスで起業して大成功するのは難しいんでしょうね。

タリーズコーヒーの美味さとは?

「すべては一杯のコーヒーから」を読み進めていく中で、松田さんの心を動かしたタリーズコーヒーの美味しさというのが気になりました。

アメリカのスペシャルティコーヒーの中から人生をかけて選んだのがタリーズコーヒー。

しかもそれまでコーヒーは好きではなかったという松田さん。

松田さんが惚れ込んだコーヒーがどれだけ美味いのかと。

普段外で飲んでいるのは、ほぼセブンイレブンのコーヒー。

今度、タリーズでコーヒー飲んでみます。

でもスタバはいたるところで見るのですが、タリーズはそこまで見かけないんですよね。

まとめ

「すべては一杯のコーヒーから」は飲食業界やビジネスに興味がある人、必読の本です。

自叙伝の本としてもオススメです。

松田さんの普通の人とは違う生い立ちとか、タリーズ日本一号店オープンやその後の経営などの苦労話がめちゃ面白い。

あと、読んだらタリーズに行きたくなること間違いなし。

スタバやドトールのコーヒーと飲み比べしてみたいところ。自分にコーヒーの味の違いが分かるかどうかも試してみたい。


 

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