ディズニーシリーズの本、「『お客様の幸せ』のためにディズニーはまず『おそうじ』を考えた」を読んでみました。
「お客様の幸せ」のためにディズニーはまず「おそうじ」を考えた
「『お客様の幸せ』のためにディズニーはまず『おそうじ』を考えた」は、「ディズニーの片付け」と同じ著者の安孫子薫氏。
創業時の東京ディズニーランドからカストーディアル業務を担当し、カストーディアル部長、運営部長などを歴任された方。現在、チャックスファミリーという会社を立ち上げ独立しているそうです。
営業中のパーク内は15分ごとにお掃除
ディズニーでは、15分ごとにお掃除しているとのことです。ゴミは必ず15分以内に拾うそうです。
また、トイレは45分ごとに清掃。なのでトイレもいつも綺麗なんですね。
TDRのトイレの便座には洗浄機能付き便座はなし。ナイトカーディアルが毎夜完全水洗いするため、利便性より効率を優先しているためとのことです。
ちなみに、TDLはオープン当時、トイレの数を見誤って大変だったそうです。年間1000万人の来園ゲスト数、男女比を1:1(アメリカを参考に)と計画していたところ、90年代には1700万人/年の来園ゲスト数、男女比が3:7で女性が多く、ゲストにも掃除をするキャストにも過酷な日々が続いたみたいです。
エアコンもなかったみたいですね。
TDSの場合は、TDLの経験を生かして造られたので、そういった問題は少ないようです。
ということは、トイレを考えると、TDSの方が快適なのかもしれません。
ディズニーの綺麗さの基準
まず、カストーディアルとは東京ディズニーリゾートの清掃作業を専門にする業務部門ではありますが、目的は清掃ではなく、ゲストのハピネスの提供と安全確保が最大の目的の業務部門とのこと。
清掃によってパーク内を綺麗に美しくし、ゲストのリピート率を上げ、また、業務の効率や業績をアップする誇り高い、胸を張って取り込める業務なのだとか。
綺麗の基準がないと、どこまで清掃をしたらいいのか各担当者によってまちまちとなってしまいますが、ディズニーリゾートではもちろん、綺麗さの基準が設けられてます。
ディズニーには「毎日が初演」という言葉があります。「常に初演日(創業オープン当日)と同じ新鮮さを維持した上で提供し続けなくてはいけない」ということで、毎夜、ナイトカストーディアルがパーク内をまっさらな状態に清掃をしています。
で、そのナイトカストーディアルが目指す開演前のまっさらなの状態の基準は、「赤ちゃんがハイハイできるレベル」と設定したそうです。
だから、開園してパークに入ると、中がめちゃくちゃ綺麗なんですね!
ナイトカストーディアルの清掃は、水を大量に流して清掃するそうです。
今まで気づかなかったのですが、TDL&TDSのパーク内には50メートル間隔で散水栓が設置されているそうです。
おそらくわかりにくいデザインになっていると思いますが、こういったところも気をつけてパーク内を回ると、また違った面白さが発見できるかもしれませんね。
消防のホースのように、かなりの水圧をかけて清掃するそうですから、寒い冬の時期はかなり大変だと思います。
カストーディアルの清掃用具は進化している
「ディズニーはまず『おそうじ』を考えた」では、カストーディアルの専門用語や用具などの説明も書かれてます。
カストーディアルが使っているほうきやチリトリは、創業当時から使っている用具ではなく、進化しているみたいです。
創業当時からディズニーランドの写真を撮りためている方がいたら、過去と現在のカストーディアルの写真を比較してみると面白いかもしれませんね。
あと、ピクシーダストって知ってます?
ピクシーダストとは、子供のゲストが食べ物を落としたり、風船を飛ばしてしまったりしたのを見たときに、その子供に渡す金券のことだそうです。
この金券をもらうと、新しい商品と無料で交換できるそうです。
噂では聞いたことありますが、キャストはこんな金券を持ち歩いているんですね。さすがディズニーです。
ちなみに、ピクシーダストを貰えるように、わざと食べ物を落としたり、風船を手放して飛ばしたりするのはやめときましょう。
ディズニーの運営は軍隊形方式
ディズニーの運営は軍隊形方式!?
軍隊って?と驚きましたが、組織のなかに明確な命令系統を設置することで、組織の判断力を強化し、牽引力を上げているそうです。
このピラミッド型の組織形態によって、指揮命令系統が明確になっているそうです。
なので、あの東日本大震災でもパーク内は大混乱にならずに、しっかりとした対応ができたのでしょうね。
軍隊方式とは言っても、上司は上から目線で部下に命令しているわけではなく、現場のキャスト目線を意識し、部下のキャストの良い点をできるだけ見つけて褒め、問題が起きたら必ず現場へ出向き、呼び出して叱り付けてほったらかしと言うことは絶対にしないそうです。
会社はもちろんのこと、子育てでも参考になりそうです。
マニュアルには最低限のことしか書かれてない
ディズニーのようなしっかりとしたサービス業には分厚いマニュアルがありそうですが、ディズニーでは最低限のことしか書かれてないマニュアルを使っているそうです。
マニュアルではなく、オペーレションガイドと呼んでいるそうです。
マニュアルは絶対ではなく、キャストがそれぞれ考え、いいものを取り入れ、仕事をこなしているということでしょうか。
マニュアル通りに仕事をするのではなく、自分自身で創意工夫をしながら仕事ができるという面白さがが、カストーディアルの人気の秘密の一つなのかもしれません。
あの東日本大震災でも、個々のキャストの判断でディズニーの商品をゲストに配ったというのも生かされてましたね。
まぁ、普段からの上司との信頼関係がないと難しいかもしれませんが。
東日本大震災は想定内の災害だった
たくさんのゲストが訪れるテーマパークなので、TDRでは頻繁に避難訓練を行っているそうです。東日本大震災は想定内の災害だったと言えるとのこと。
おかげであの3月11日の東日本大震災に生かされましたね。さすがです。
ディズニーに匹敵する会社
本書では、ディズニーに匹敵する凄い会社が紹介されてました。
長野県伊那市にある伊那食品工業と言う寒天国内シェア80%を占めるトップ企業です。会社は社員の幸せのためにあるという理念の下、一切雇用調整をせず、増益増収を続けているそうです。
清潔さはTDRに匹敵する美しさで、伊那食品工業が従業員や顧客のために造った「かんてんパパガーデン」の美観は素晴らしいとのことです。
ちょっと行ってみたいですね!
【ディズニーはまず「おそうじ」を考えた 安孫子薫】